コムズコラム

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2017.12.05

人工知能とクリエイティブワークについて考案


【人工知能とクリエイティブワークについて考案】

去る2017年11月28日、パシフィコ横浜にて開催されたAdobe MAX Japan 2017へ参加しました。

非常に多くのクリエイターが来場されており、年を追うごとにその注目度の高さが伺えます。
製品ごとのワークショップやセッション、体験型展示や即売会など、充実したコンテンツが展開されておりましたが、詳細については今回割愛し、話題のAI”Adobe Sensei”にフォーカスしてレビューしていきたいと思います。


Adobe Senseiとは 優れたユーザーエクスペリエンスは偶然の産物ではありません。
アドビほどその研究を深めている企業はほかにないでしょう。
Adobe Senseiは、クリエイティビティ、ドキュメント、マーケティング各分野での数十年の知識を集約し、高解像度画像から顧客のクリック操作まで、何兆ものコンテンツとデータアセットすべてを、統合AI機械学習フレームワークに関連付けています。
数百万ものアセットの画像マッチングから文書の意味と感情の解釈、重要な顧客セグメントの詳細な絞り込みまで、すべてAdobe Senseiが解決します。

引用:Adobe.com

私自身、人工知能についてはまだまだ「CPUの延長」という印象でしたが、今回その思考を完全に覆し、かつクリエイターとしての危機感を覚えました。

その衝撃の一部を目の当たりにしたのはPhoto Shop。
誰もが耳にしたことのある画像編集アプリケーションですね。
現在開発段階とのことでしたが、そのPhoto ShopにAdobe Senseiが搭載された次世代UI/UXの実演が披露されました。

まず、手書きのラフスケッチをPhoto Shop上のAdobe Senseiに読み込ませると、そのスケッチに描かれている要素を自動で抽出しタグ付け。
例えば、人物画であれば男性か女性か。大人、子供など。
星が描かれていれば宇宙といったカテゴリを判別してくれます。

次に、その要素や属性を元にデータベースにアクセスし、画像素材をピックアップ。
女性の画像を選択するとさらに構図の異なる画像群が導き出され、それらの顔の角度を判別し左向きから右向きへとパラパラマンガのようにフレームワークでスライドさせることが可能。

単純に人力で、これらの画像を一枚一枚選別するだけでも工数を要するので、この機能だけでも画期的と言えます。

さらに、宇宙という属性から背景画像をピックアップする工程も衝撃的でした。
こちらもデータベースやAdobe Stockから候補を導き、サムネイルから選定する形になりますが、なんと「星」の増減などで候補を変更できる機能が備わっていました。
則ち、画像上の光源の数をAdobe Senseiが把握して適切な素材を提示してくれる。という事です。
工程ごとに、次のステップを提案してくれて、効率よくより最適な作品創りに集中できるというものです。
その他、複数のフォント候補をビジュアライズしたり、自動マスク処理などデザイナー目線での「これができたら」が実現されておりました。
機械学習の賜物ですね。

そして、これぞAI!と感じた機能ですが、
Adobe Senseiは全ての作業工程を記憶しており、遡ってピンポイントに差し替えが可能に。

つまり、出来上がった作品の一部だけを簡単に変更できてしまうのです。
わかりやすく例えると、「積み木の一番奥下にある木だけを、他の木を触る事なく入れ替えられる。」という事です。
これまでもヒストリー機能から遡ることはできましたが、本質が全く異なる新機能は称賛せずにはいられませんでした。
デモではSF映画風ポスターのようなデザインで、この機能を用いて瞬時にヒロインをヒーローに変えてしまいました。
会場の感嘆の声が間に合わないほどあっという間に。

実際、クライアントの修正指示によって戻り工数に悩まされたデザイナーも少なくないと思います。むしろ定石とも言えるかもしれません。 それらを一気に解決してしまうのです。

これが人工知能か。

と、イノベーションを目の当たりにし、昨今話題となってる「AIによって失われる職業」というキーワードにデザイナーも相当する可能性を感じました。
ただ、「危機感を覚えた」としましたが、これは決してネガティブな要素ではなく、より洗練された作品創りを可能とし、枠を超えた新しいアプローチでのクリエイティブワークを実現するというものです。

Adobe Senseiによって、デザインの間口は広がり、その垣根も確実になくなるでしょう。
人工知能を”なんだかよくわからない”と敬遠するのではなく、人工知能をフルに活用し共に創造していくことがこれからのデザインなのでしょう。